「神田まで出むきます」という井ノ上裕二(18[破]学衆・当時)に「どんな料理がいいですか」と迫村勝(18[破]師範代・当時)。突破から10年以上たっても、師範代・学衆の関係はつながる。迫村は横浜国立大学で分子統計力学を研究するサイエンティストで、井ノ上はビジネスパーソン。立場を超えて交友が続くことが、編集学校の醍醐味だ。
「神田らしい料理で」と井ノ上がリクエストをする。神田といえば、江戸。江戸といえば、蕎麦か寿司。多少浮世離れした迫村でも、地元の神田であれば、どこか知っているだろう。井ノ上は「探しておきますね」という返事に期待した。江戸っぽい料理を味わいつつ、非日常感あふれる会話を迫村と交わすことを思い巡らしながら。
当日、井ノ上が確認のメールをする。迫村の返事は「いきつけの九州居酒屋を予約しました」。神田駅で落ちあい店に入る。「二人分の席空いてます?」と迫村は聞く。明らかに予約をしていないことを井ノ上は見逃さない。「地元で一番行くのはタイ料理なんですよね」。たしかに、バンコク在住の井ノ上は神田まで来てタイ料理を味わいたくはない。「だから、九州料理の方がいいですよね」。迫村は一応の気づかいを見せるが、井ノ上には手抜きの言い訳にしか聞こえない。「わたしは九天玄氣組(イシス九州支所)のメンバーですし」。迫村は早口でたたみかける。だからといって九州居酒屋にする必要はない。
「10年前は横浜中華街に連れて行ってしまったことがありましたね」。迫村は無邪気な笑顔を見せる。当時、井ノ上は中国在住であった。その時のがっかりな記憶がよみがえる。10年たっても、迫村の行動パターンには変化はない。井ノ上は心の中で呟いた。「やはり、この人は死ぬほど面白い。それも、飲みが始まる前から」。
それから迫村と井ノ上の会食は3時間半にわたった。話題の中心は、井ノ上が期待していた“UFOネタ”であった。
井ノ上シーザー
編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。
【シーザー★有象無象006】自分にかける呪い考~アル中患者のプライドと、背中の龍と虎の戦いと、石田ゆり子の名言と。
前回の経済学の記事で「金融緩和をするほどに(IF・原因)高インフレが生じる(THEN・結果)」という現象を取り上げた。望んでいるのはマイルドなインフレなんだけど、よかれと起こしたアクションで期待しない結果をもたらす。これ […]
【ISIS BOOK REVIEW】ノーベル経済学賞『リフレが正しい。FRB議長ベン・バーナンキの言葉』書評~会社員兼投資家の場合
評者: 井ノ上シーザー 会社員兼投資家 イシス編集学校 師範 文明も芸術も、経済も文化も、知識も学習も「あらわれている」を「あらわす」に変えてきた。この「あらわれている」と「あらわす」のあいだには、かなりの […]
【シーザー★有象無象005】”町中華”を編集工学する~ユーラシア編
ちょっと裏話を。前回の「市井編」と今回の「ユーラシア編」は、もともとは一編でしたけど、遊刊エディスト編集部から「分割したほうがいいんじゃない?」という声があって分けてみました。今回もホリエ画伯がトホホ感あふれるアイキャッ […]
【シーザー★有象無象004】”町中華”を編集工学する~市井編
中国在住歴通算11年(!)の井ノ上シーザーがこのネタに取り組みました。大真面目にDUSTYな編集中華料理をお届けします。たーんとご賞味ください。 ●――深夜に天津飯がやってきた: ある夜中の2時ころに目を覚 […]
【シーザー★有象無象003】事件速報◆山口県阿武町から越境した男と4630万円
井ノ上シーザーが「い・じ・り・み・よ」する。今回は世間を騒がせているこの事件を取り上げる。 文学的でもあるし、超現代的でもある。そう睨んだのはシーザーだけではないだろう。 ●――電子計算機使用詐欺事件: 2 […]